月日

筆が遠くなってしまいました
「元気です」と方々に手紙を書きたいのに
途切れることのない月日のなかに
深く聴き入って
長い楽章の途中で席を立つことができない人のように

梢を流れる雲
太陽のめぐり 時の鑿の音 そのなかにひそむ
ひとつの響きを

それが遠ざかり消えてゆくのなら
最後まで聴きもらすことがないように

近づいてくるのなら
それが呼ぶ一瞬に
答えそこねることがないように