海へ

だれでも、一度だけ死ななければならない
無数の時間と同時にこれはある

不安は絶えずともにあり、消し尽くすことはできない
同時に、安らぎも常にそこにある

顔を見ることができない人々のために、目を閉じる
目を閉じてあなたに触れる
時にはその方がどんなにか近く、わたしたちは抱擁する

知っている、船の縁に立つあなたの向こうには
夜の海がある
わたしの思いが一歩でもあなたを追い抜いたら
そこには限界か、無限しかない

吹き荒れる風のなかで
あなたは言った、かもしれない
「どこかで幼い灯台守の目が見張っている
「この海の広さはいまも広さのままだ