February 2024

わたしは泣いてはいなかった凍った湖上の風景は自ずと霧に暈けながら
枝葉を離れる花はかがやく吹雪となりやがて澄んだ風になり
恋人はどこにいるのだろう白雲に紛れた雪渓の硬質な光を見抜く
雲に空いた穴から半月がのぞき込んでいるわたしは目を擦る水底の魚
赤子の寝息を聴くように焼きたてのフランスパンに耳を寄せる母