220623 アトリエ

夕暮れ、小さな白い部屋にいる。
三方の壁はガラス張りで、雲ひとつなく透きとおった薄暮の階調が広がっている。
向かいの壁の奥に扉のない出入り口がある。
中央の大きな四角いテーブルが空間の大部分を占めており、ひとりの女性が何か作業をしていた。
私は窓のそばにいて、彼女と英語で会話する。
ここは彼女のアトリエだった。
テーブルの上には何もなく、その人が何をつくっているのかは分からない。
やがて部屋は宵闇に沈んでいく。
天井を見上げると、照明はなかった。
「ここ、灯りがありませんね。暗いけど大丈夫ですか」
とたずねると、
「ええ、だって、これが夜ですから」
とその人は答える。
窓の外ではまだ仄かに発光している空がさっきよりも澄んでいるような気がした。
その人は薄闇の中、テーブルの上で透明な砂でも集めるように手を動かしている。