November 2023

青い海のほとりに立つ白無垢の花嫁はただ色として美しく
榊と檜の葉を敷いた初牡蠣を空にしてにわかに命がのりうつる
紅葉黄葉の森に一点の暗いトンネルを見つめるうちに冬
冬の衣をまとえば雪虫も白い半纏を装う待ち合わせたように
老女の古今をゆき交う話にきき浸るうち山間の湯はあふれて減らず