January 2024

曇った銀器の中でただ一所磨かれたように飛騨の雪渓が鋭くひかる
風の吹くほうへ倒れて眠る枯れ草たちの色も名前も織りかさねつつ
闇の奥から雪の結晶がただよい落ちる家の軒まで宇宙があふれて
還俗の僧侶らのように静かに山を下る雪解け水がさざ波を連ねて
けむる水面はなみなみと息づいているこどもがひとり湯船にいると