131110 星の臍岩

昼、アリス・リデルと一緒に、空にほど近い草原にいる。
先は崖で、その向こうには谷と山、また草原が広がっていた。
私たちの立つ丘の上には円柱形の大きな岩があり、その上に登れば辺り一帯を見渡すことができそうだった。
私はアリスを呼びながら岩へ向かう。
強い風が吹いていて、何度も斜面を転がり落ちてしまった。
何とか攀じ登り、最後は鳥のように飛翔して岩の上に降りる。

「見て、なんてすばらしい眺めなの」
まるで星の臍にいて、ここから見える世界は生まれた時のままであるかのようだった。
アリスに言う。
「この岩は、遠い昔から地球の土台をしているうちに中が空洞になってしまったの」
だから、岩は独楽やゆりかごのようにかすかに揺れている。
私たちはその揺れに身をゆだね、心地よい気分で目の前に迫っては遠のく景色を眺めた。

「あそこに畑がある」
視界の一角に田園があり、枡目のような生垣で仕切られた畑では、さまざまな色や形の鉱物が育っていた。
私たちは「世界」の入り口にいる。ふとそう思われて胸が鳴った。
「土台」に跪いて身を乗り出すと、眼下の草は緑色に明るく、あまりにもリアルにそよいでいた。