October 2023

八ヶ嶽の山麓をやさしく踏みゆく痩身の雲の家族らの歩み
夜深く見惚れる水晶の珠はとめようもなく床へ散る
ふれられはしない蜻蛉たちを散らしつつ枯草の辺をゆく
金の稲穂の蜻蛉が消えたと思えば手の甲にいる
相方のひらく水尾のなかを静かに静かについてゆく鴨の夕暮れ