September 2023

褐色のビロードのあげはが扇ぐ朝の風はつめたい
身廊を辿りながら神父が教会の灯を消していく森は宵闇に沈む
楡の木はすべての葉先に至るまであふれる黒い噴水になり滴る
まだ飢えていることすら知らない新月の若い牙が空を噛む
朝の谷底から空へ湧き立つ虹にも生家があると知る