August 2023

いつまでも真昼の円虹に見入るひとほどかなしい眼をもつ
山の上には雲の故郷があるのか夕べの丘をのぼりゆく
白百合の眼に斑らな光が落ちて何も見えないように笑う
静かな音楽のなかに赤ん坊の泣き声をきく里は盆
麻のシャツにそっとすがる糸蜻蛉はおなじくらいさびしい