July 2023

みずからの光に白く透けた林をゆく月は未だ散歩している
日暮れの湖の底に古い村を思うとき一匹の魚が飛び跳ねる
窓の外で時折なにか白いものの降る夜は言葉を忘れる
澄んだ大気には羽の轍が残るのか二羽の鷺が山麓をなぞる
樹上へ舞い上がる二羽の白鶺鴒は版画のように重なる