June 2023

空の薄氷が剥がれ落ちて瘡だらけの瑞牆はきれい
ひざに蓮華躑躅をこぼして雪の高天原は微笑む
光は無色に思えども障子を閉じた川辺の室はまみどりいろ
硝子の文鎮のような水塊が蓮の葉を押さえて震える
なみだの縁の岸辺のようなガーゼタオルの柔らかさ