230703 盗賊

朝、母校の小学校に似た古い建物の中にいる。
体育館にあたる場所に広い書斎があり、持ち主が去って長い歳月が経ったか、あるいは今まさにその人が去るところで、これから廃墟になる場所だと感じる。
部屋には数名の知らない若者たちがいる。彼らは盗賊だった。
木製の大きな机の上には真鍮の文鎮や紫水晶が載っている。
抽斗をひらくと、ロケットか懐中時計のような曇った金色の丸い物がいくつか綺麗に並べられており、その下には読めないほど古びた紙の束が伸されていた。
「こんなに古びているけど、まだ持って行ける物があると思います」
と、盗賊たちに言う。
彼らはこれらの品々に対する感傷などは一切抱かないのだろう。
若者らしい軽やかな身のこなしで、辺りを囲む飾り棚の中の鷲の羽や色彩のない天球儀を眺めてまわっている。