poetry 秋 梢にひとつ、またひとつ金の予感がひかるころだれも聴いたことのない歌を口につめこんで花野のかげに佇む子アスターよりもちいさな子 だれもかれもあの子にかまうひまがない秋はせわしく過ぎてゆく空をあおげば天使たちが銀杏の枝を叩いてまわっている
poetry 小石 わたしの手のなかにはたったひとつの小石がある 何の役に立つだろう投げすててしまえばこの世界でいちばん小さな小さな垣根がくずれるだろう うつくしい夜にもおそろしい夜にもわたしの手のなかにはたったひとつの小石がある 何の役目があるだろう投げすててしまえばこの世界でいちばん小さな小さな橋がくずれるだろう