月光

生まれかわるなら
月の光に
なるでしょう
洋琴小曲の
音符になって
あなたの上に
降り注ぐ
降り注ぐだけの月光に

アポトーシス

手をつなぐ
わたし
ぼく
あたし
おれ
ぱたりと倒れる
わたし
ぼく
あたし
おれ
同一線上のびる
わたし
ぼく
あたし
おれ
見えないほどの星屑になって
私の宇宙を埋め尽くす
わたし
ぼく
あたし
おれ
五本の指を鍵盤におろす

絹のくも

ぎんいろにひかる
雨をなめ
ゆびさきをぬらす
月はしろい

空のまとう
絹のよう
あの雲はみた
ながいゆめ

やまをやまを
なぞって飛んだ
朝の火に
やかれてしんだ
月はいずこ
ぬれたゆびさき
雨はいずこ
さびしい舌さき
いずことはなに

あい

むかしのひとは
それを見て
木という名前を
つけました

むかしのひとは
なにを見て
あいという名を
つけたろう